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       今までの記憶のかけらの残像です。    小さすぎる私の心のシャッターですが、、、。

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2012年7月21日 (土)

マチコとなっとう。

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今日も朝食は納豆だ。

真千子は近所のおかず屋で購入してきた納豆のパッケージを一人ご飯の食卓にのせた。

朝ご飯に一人で食べる量には十分すぎる2合のお米を炊いた。

真千子の出身の津軽の北端に最も近い田舎のお米だ。

田舎の田地は、当時の藩主の政令で江戸時代から盛んに新田開拓が行われていた。

今朝食べるお米は、その田んぼで育てられ、収穫された新米だった。

そのお米には知る名前などは無いけれど、幼い頃から口に馴染んで、とても好きだった。

して、何よりもその郷の豊かな美味しいお水で作らたことが真千子は嬉しかった。

真千子がお気に入りの可愛いにゃんこの箸置きの横には小皿に梅干しが3こ。

真千子の田舎ではよく食べられていて、こちらでは珍しく紫蘇の葉で四角にで包まれて

いる梅干しが3個入っている。青森の食品店からネットでお取り寄せで購入している。

真千子にとっての梅干しはこれしか想像できないのだ。紫蘇の葉の香りがたまらない。

お味噌汁は津軽の味噌と煮干しで作ったもので、今日は味が薄目で具無しの味噌汁だ。

その脇にはまだビニール袋に入ったままのとろろ昆布が無造作にあるのだ。

このとろろ昆布は青森から送らてきた時からギュッと固まってしまってるので、

これを指で一つつまんで引き剥がしてから、お椀に豪快に「えいっ!」と放り込む。

たんまりといれるのが好きなのだ。

科学実験を楽しむかのように観察する。

それが水分を含んで山盛りに膨れ上がった状態のコブを食べるのが何よりも好きだ。

それをまず、納豆を食べる前にそれで軽く御飯を一杯だけ食べる。

はたして納豆よりも好きかも、、。そして、真千子は思い出したようにジャーの蓋を閉め、

アツアツ御飯から立ち上る湯気に背を向けて畳の部屋に入る、、

真千子は寝室の片隅に置かれているチェストの上のささやかな祭壇の両親の遺影に

手を合わせてからいつもどおりお辞儀した。

それからまた行儀悪いのだけれども、

「これから御飯にします。」と華奢な背を向けて歩きながら呟いた。

真千子は食卓を真上から静かに眺めて見下ろした。

小さなご飯茶碗には赤い金魚の絵や、水玉の模様や、サザエさんが描かれてる物や、

一人暮らしの今までに至る、その時時に使っていたお気に入りの物が目に浮かんできた。

最後に浮かんだのは、既に結婚を考えて一緒に暮らしていた彼との思い出の物だった。

お揃いで買い揃えた思い出の御飯茶碗が目に浮かんだ。

彼とお付き合いして暮らし始めた頃、二人で自由が丘に噂のスイーツを食べに出かけ

た時に偶然見つけたお洒落なライフショップで購入したものだ。

朝鮮白磁のように上品で素朴な薄手の茶碗でピンクの桜の花を散りばめてあるやつだ。

そのとき箸置きも同じ柄で揃えた。だが、箸置きもお茶碗もとうに箱にしまった。

今は一人分だ。今は真千子だけの食器があるだけだ。100均で見つけた益子もどき。

湯気がようやく消えかかった御飯茶碗を見つめて感傷に浸りながら考える。

今は真千子が小さな頃に感じた食卓の賑やかさや幸せ感はまったく無くて寂しいものだ。

その思い出さえまるで真千子が創りだした幻のような気がした。

今でもちゃんとした記憶があるのは姉に言われたひとことだった。

その姉とも真千子が小学の高学年の頃におわかれをした。

それ以来会っていない。姉は親戚に養女に出されたのだった。たしか5年生だった。

最初は姉の言っている意味がわからなかった。

「マチコは猫舌なのよ。」

そんな風に言われるよりはるか以前に熱い御飯が食べれなくて母によく叱られていた。

あの頃は家族と一緒だった。

今は、、、

そんな食事風景を懐かしく思い出しながら見つめていた。

「真千子、早く食べなさい。御飯が冷めるわよ、。」

「うん、でも熱くて御飯が食べれないから、、。」

それが頭の中に綺麗によみがえるのをこうして見下ろして待つのが大好きだった。

その言葉を思い出すようにしながら、やっと冷めた御飯を見ては飛び上がりたくなる

衝動を抑えるのだ。

そんだけのことでついつい嬉しくて微笑んでしまう。

一人暮らしになったからまた以前のようにやり始めた。

一度コツを掴んでいるからさしたる苦労もなく直ぐに出来るのだ。

そうやって味気のない独身時代を乗り越えてた。

あの母の声は当時と変わりなく聞こえた。今でも変わらなかった。

「だって、このほうが御飯は美味しいよ、お母さん。」

それを耳と心で交互に確認して真千子は独り言を呟いた。

「ヤッパリ美味しいよ、、。」

御飯がなんとなく猫舌の真千子が食べれる迄の冷める時間は体が覚えている。

子供の時も、そして、今でもそれは予想を裏切ったことは無かった。調度良いタイミング。

とろろ昆布のお味噌汁でまず御飯を食べる前に、真千子はお店のおばさんが奨めてくれ

た初めて見る新潟の納豆を手にとって鼻に近づけた。

昔のようなワラの包の匂いも、赤松で作られたキョウギの豊かな香りもしなかった。

悲しいことに蓋を剥がす前だと納豆の匂いさえしないのが今の納豆事情だった。

例えばもう少し昔だと購入した納豆の入っている発砲スチロールの蓋と蓋の間に

は時々、納豆粒が1,2個だけ挟まって潰れて乾いているのを見かけた。

そんな事があったりもしてたが、今ではそれさえ目にすることは無くなった。

「パキ!」

真千子は指先に軽く力をいれて、完全に蓋を納豆が入っている本体から引き離した。

こうして食べる作業をするのが癖だ。

面倒くさいセロハンを剥がし、そろそろと、それを引きちぎった蓋にそろりと乗せる。

納豆に最初から添えられた醤油調味料とカラシは使わずに専用のタッパにしまう。

真千子は味付けには食べ慣れた青森のワダカン醤油を使っていた。

少しだけ醤油を垂らしてかき混ぜた。

はじめて購入した新潟の納豆を軽くかき混ぜて手を止めた。

だってさ、納豆はまだ食べないよ、、。

まずは、とろろ昆布のお味噌汁で御飯を食べる。

「お姉ちゃん、、マチコはまだ猫舌だよ、、。」

「真千子は猫舌だものね、、。」

「うん、、猫舌だよ、、今もね、、。」

お箸ですくったとろろ昆布を舌に乗せた瞬間、

そのあまりの熱さで差し出したベロの先を真千子は火傷した、、。

自然に涙が出てきた、、。

姉の富士子が口にする、おっちょこちょいの真千子を茶化す口癖が耳元で聞こえた。

「ばあか。まちこはそそっかしいぃ。」

あのね、、今は一人なんだよ、、

ううん、、まちこは一人なんだよ、誰も教えてくれない。

真千子は静かに納豆だけを一匙口にいれた。

止まらない涙もそのまま気にせずに納豆を食べた。

火傷した舌先が冷たい納豆で冷やされるのを感じた。

そうしながら真千子は、さっき捨てた納豆の紙ぶたの色を思い出していた、、

記憶の中の緑色。

お別れの晩の事、最後の家族団らんの晩御飯を食べた後で、

姉が部屋に真千子を招き入れてスヌーピーの絵の紙袋を手渡した。

その姉がくれたセーターがそれと同じ色だったのを思い出した。

恐る恐る真千子が紙袋を覗いて、その中身が判明した時は驚きだった。

最後の記念にと姉がお気に入りのセーターを真千子にくれたのだった。

そう言えば納豆が好きな姉は我慢して食べずに真千子に何度もくれたのだった。

真千子に納豆をいつもくれる優しい姉が大好きだった。

昔、アイビーセーターが流行ってた。

左腕に2本の白いラインだった。

「これあげる。」

「ありがとうね、おねちゃん。」

「うん、ずっといっしょだからね。」

「うん、、うん、、ありがとう。」

「おねえちゃん、納豆もありがとう。」

「うん、まちこは好きだものね!」

「ありがとう。」

天国のおねえちゃんありがとう。

おねえちゃんほんとうにありがとう。

  「マチコとなっとう。」   おわり。

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今朝の妄想です。

ああああ、、、妄想でよかった。

納豆無いので今から買いに行きまーす。

納豆が切れると妄想がひどくなる。

何にしようかな、、、納豆。


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