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       今までの記憶のかけらの残像です。    小さすぎる私の心のシャッターですが、、、。

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2012年8月17日 (金)

張り紙。「納豆あります。食べていって下さい。」

「これでっいいね!」

「うん!とうちゃん!」

「よーしっ!準備はできたぁっ!」

何やらこの親子は人を招き入れる準備に大忙しだ。

商店街のシャッターがどこも開きそうにない早朝から、

眠い目をこすって今日のための準備に余念がない。

戦後悲しみに耐えつつも、ようやく世間の暮らしぶりも春めいた頃に開いたお店だ。

あのころは誰しも心に傷を負いながらも、毎日を懸命に生きていた。

がんばって人々はキラキラしてた。

先代の爺ちゃんがはじめた納豆屋を継いだ親子の小さいお店が騒がしい。

*

「とうちゃん!これにお花はさすの?」

「うん、そうだ!それに水を入れておくのを忘れるなよ、ときどきはいっていないぞっ!」

「うん、父ちゃん!(へへ。ごめんえ。。母ちゃん。)」

あの日、保育園に向かう途中で二人は自転車もろとも車に持って行かれた。

母と弟が事故に巻き込まれた。

それ以来父と二人暮らし。

― かあちゃん、、、事故でケンタも死んだのにね、、。話せない。

― お前のかあちゃんは納豆を食い過ぎて嫌になって出ていったんだろうって。

― あいつら嫌味なことをいうから、ボコボコにしてやったぜっ!

  きょうも母に愚痴ってる。

「ははは!」

(あの野郎サボリだっ!)

「?何わらってんだっ?忙しいんだから言われたとおりになぁ!」

「はあーい!父ちゃん!がってんしょうち!」

― 弁当に納豆を持って行くと教室が臭くなるのはそのせいだってさ、、ひどいぜっ。

「納豆弁禁止になった。」

― クソガキどもは家でも納豆は食べていないっていいやがってさ、うそを言ってる!

「まいにち、俺んちの納豆を買いに来るくせに、教室では知らん顔だよ、。」

「なにっブツブツいってんだあ?テツー!」

「うううん、なんでもないゆ!」

― へへへっ

「てっちゃん?納豆は嫌い?」

「ああっ!かあちゃん!」

「きたのっ?ありがとお!ううん、。(´;ω;`)大好きだよ。父ちゃんの納豆だもん。」

「へへへっ今日は楽しみだねっ!もう準備はできたぜぇっ!ねむいの頑張ったん!」

「また泣いてたの、、。」

「うううん!鼻炎なんだよ!かあちゃん!はははー!」

「父ちゃんも、眠いって!子供じゃあるまいしねっ!ねえ、(^O^)かあちゃん!」

「うん、頑張り屋のてっちゃんで大助かりよ!忘れてるものは無いの?」

「うん、お醤油は今日のために父ちゃんがそろえた全国のお醤油ぜんぶ!ぶんっん!」

「薬味もお野菜はぜんんぶ切った!胡麻も白と黒、、おかかは、、わすれていないし、、。」

「みょうがも紫蘇も、、で、いっぺんだけオクラが足りなくてさっ。いけねえ。まただあー」

「おどんぶりは?去年は足りなかったのにね、、買うの忘れていない?お父さん?」

「これ見て!かあちゃん!あさから洗うの手伝ったからだいじょうぶ!」

「うん、お醤油は、、鹿児島も九州もとくに、秋田や青森も、、だいじょうぶね、、ははは!」

「母ちゃん?嬉しそうだね?」

「そうよね、、一年に一度きり、、7月10日が待ち遠しいものねっ!」

「あっ!かあちゃん!父ちゃんがくるっ!みっかるよ?」

「はいはい。またね、あとは母ちゃんが連れてくるまで眠っていなさいね、いい?」

「はあ~い!ねむねむしもう~!」

毎年恒例の納豆の日の今日1日、この日限りは手作り納豆を馳走にふるまう準備に

余念が無い親子の朝の風景だ。

納豆を食べながら見ている諸氏も驚く無かれ、、

この納豆屋の親子の噂はあの閻魔様の耳にも及んでいた。

おりしも冥土の扉が開くお盆前なのに、特別に一日だけ天界の扉を開放することに

なったのも、この親子のその徳のゆえんだ。

ちゃこ。が言うに及ばず、朝食に一度足りとも欠かしたことがないと言われる程に

有名な閻魔様、納豆好き閻魔様をも動かしたと言うのはそのことよ。

そうはいっても天界に内緒でご法度の掟破りをそもそも閻魔様がなぜに犯したのか?

全くくだらないことだ!

そんな馬鹿な真似をすることは御役目柄にも天界から決して許されるものでは

ないことは承知であるはずだ。

しかし、いったいこれはどういうことなのか、、?

何が閻魔様をつき動かしたのだろう。

それの経緯はこうだ、、。

有る噂、、。

別段にその噂を気にかける素振りも見せていなかった閻魔様。

また流行り物好きな人間の悪い戯れ事だろう、、

きっと違いない。    カッー!(水戸黄門のBGMで使われる効果音だっ!)

おくす素振りまったく無い閻魔様。

ちまたで健康ブームになる、はるか前から納豆を食べていた閻魔様。

そこはしかし!納豆が長寿の秘訣とは口が~裂けても言えねぇ~閻魔様。

それをうっかりここで口でも滑らせたら大変なのだ。

そう、何かの理由でここに間違ってやって来る奇特な者達がいる。

よく調査をして調べてみると、何かのせいでその判決が誤報な時がある。

何兆に一つ稀にあるのだ。

運良く稀に元の場所に戻されて生き返える者がいるのだ。

その者達の中には、此処で集めた情報をネタにして一攫千金を企てて

うまくやるのがいる。

その対処にとても困っているのが現状だ。

境目の川を越えた者にはマニュアルどおりに閻魔帳を開いて問答をする。

その際に過去帳に載せてある様々なデーターで評価をするのだ。

それと知られていないけれど、裁きの前の待ち時間にはアンケートを行う。

アンケートの一覧には生前の行いに対する自己評価も有る。

また、その人の病気や怪我など様々な生い立ちの中のアクシデントを収めた記録欄の

場所の下にこういうのもある。、

「生前好きだったものは?」というのがある。

中には「嫌いだった人の名前は?」とかもある。

いわゆる統計調査だ。

これは特に御長寿さんに対するものだ。

ここでも能く知られている事は、

長命で此処にきた人のおよそ八割が納豆が何よりも大好きと書いてる。

「うそは申しません。」と捺印まで添える人もある。どんだけ~~?

きちっとした宣言文はぶっとい字で書かれてあった。

その字を書く筆は専属の職人が作る

パソコンはない。筆が主流。

書き込む文字は、、。

はて?話はずれたが、、

その書き込み欄にまったく必要のない店名をわざわざ書いてる亡者がとても多かった。

ひらがなも漢字もあったが皆一様に『たまげた屋の納豆に限る!』・・・カッー!

などと記入していた。

納豆好きの閻魔様は事の次第を部下に命じて調べさせた挙句にどうしたものか、

一度だけたがが緩んだとしか言えない事、その納豆を作ってる親子を召しだした。

そう!御法度であるから、絶対に生きてる人間をここに連れてきてはいけないのに、

あろうことか、まさかの掟破りを閻魔様が自ら犯したのだった。

心配もよそに和やかに行われ、揉め事もなく話し合いで事は決まった。

記録文のその甚句はおおかた次のような内容だった。

親子に対しては、、、

「その追善供養は、ここにきたものを喜ばすのだから、特別に七月十日は特別に許す。」

特別に納豆に縁のある者達を許すことに決めた理由事が細やかに、、、

また、今後は特別に許す代わりにその商には隆盛は許すべからず也。とも、、、

その親子の性根のあり様も細やかに調べあげており、後の家族の顛末を見ると、如何に

際立った粋なはからいがされたかが一目で分かるものだった。

赤文字で

          「温和なり、別け隔てなく御身を捨て、真心を投じるは比類なき者達。

                 阿弥陀に及ばぬがまさに奇特なり。」と、、、、

そこに自らの名前を記入した。

やや小文字の仮名書きが隅に認められる、、。

これも閻魔。

「追善供養に付き納豆を御奉納忘るべからずを申し付ける。」とある。

下に血判があって、記名には「たまげた屋主人正美、並び子徹。」と書かれてた。

早い話が納豆好きの閻魔様が賄賂を受け取って毎朝食べる納豆を飛び抜けて美味いと

評判の謹製の物に乗り換えたという話だった。

西洋で例えるのならば、、

フランスではフランスパンの代名詞のバゲットを作る名人コンテストが開かれており、

パリではフランス大統領がその職人が焼いたフランスパンを1年間食す、

それを大統領府に収める栄誉を賜るというのに近い話だった。

*

悲しい災難など多発する現世だ。

でも、災が及ばずに、人々が幸せに暮らせる世の中だと、

自然と此処で激務な閻魔様もお仕事はめっきり少なくなる。

悲しいお話で涙腺が腫れ上がることもないのだった。

それが何よりだ。

そんな暇な時にのぞいてるのは全国津々浦々の納豆のカタログなのだ。

さもあらん!

蔑んで臭いとか気持ち悪いとか言って食べない諸氏も、

きっとこの事を知って驚いたと思う。

で、、遅くなりました。お盆前の7月10日は閻魔様の粋な計らいで扉が開くという、

納豆好きにはとてもめでたい日となったのでした。

で、、、親子はといううと、、、。

続く。

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