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       今までの記憶のかけらの残像です。    小さすぎる私の心のシャッターですが、、、。

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2013年11月 9日 (土)

ある日突然、秋なのに白いものが空から舞い降りてくる。
そんな光景暫く忘れていたから思い出せなかった。

その日をきっかけにやがて雪を降らす冬。

小さなささくれみたいな思いでも連れてくる。

そして、見慣れた松や杉などの針葉樹には冬が深まると雪が積る。

意気地無しな僕しかいない深い森。

夏が暑さで厳しいのは言うまでも無いことだけれど、いつだって真冬の寒さのことは知らない人には言葉で言い伝えるのは難しい。
自分の吐く息が白く見えて、手に吹くと温かい。

その厳寒の中で雲をぬって太陽が顔を出し、徐々に空に昇る時の楽しさや嬉しさも本当に言葉に、、。

一面見渡すと白い雪がキラキラと美しく輝きまばゆい。
それも冬だって景色の。
うん、そうだ。
少し思い出せた。
そうだね。

針葉樹からは風が強い嵐か、天気が丸一日、或は半日くらい雨が降らない限り、その雪は溶けないし落ちてこない。

そう、お天気が良くて暖かいからその枝葉に積もってた雪は気まぐれさを見せる。
葉の先で少しずつ雪が溶ける。
雫が太陽に照らされる。
キラキラキラ輝く。

チャンスとばかり静まりかえった森の中を忍び足で通りすぎる動物らを驚かす。ドサッ。て雪が。
その時、動物達は驚き目を丸くし木の上を見上げる。
ひょいっ。て、雪。
わあっ。て、、ふうぅ。
危なかった。

細い尾っぽ軽くはねあげ、すばしっこく冷たい雪の塊をよけた狐。
狩を終え、子育てに戻ろうと巣穴に入る瞬間あわてて足を止める黄金色のテン。まるで綿花見たいにまゆるく膨らんで可愛いそわそわシジュウカラは我慢出来ない。
少し瞑想中で驚いたのは、枯木の越冬中の幼虫。

だけど小鳥だけは楽しげな感じ。チョロチョロ止まり木をせわしなく変えて、落ちた雪の塊やまだ揺れている枝先を眺めている。

どうやら、みぞれの塊がバサッと落ちた辺りに天敵がいない。
それがわかるとシジュウカラはまっしぐらに舞い降りた。
どんな理由かわかる?

よく目を凝らして見ると、落ちた雪の中に山椒の粒見たいなのが混じっていた。
悪戯な雪は枝穂先にあった芽をもみちづれにして地面に落下したようだ。

一つチョン。二つチョン。仲間も沢山。
そっちもこっちも軽く飛びながらだ。
「食べていい?」
「いいよ」
するとシジュウカラは、尾っぽと首が折れ曲がるほど揺らして感情を表に出した。
夢中になって食べる。
時々、警戒怠らず
「美味しい!」って。

よく晴れて森が暖かく雨が雪にならない限り物語は始まらないけど。

どこかで鳥のさえずりが聞こえた。気のせい。
目をつむる。

あの部屋から見える老人が住んでいた赤い屋根の家の暖炉から出る煙は見えなかった。

また目をつむる。
 
昨年の秋頃に孤独死なのが偶然見つかった。
優しい老人を誰も気には止めなかった。
が、森の鹿は違ってた。
普段は人に用心深い鹿が老人の家の周りにいつくようになった。
老人は狩猟もしない。犬も飼っていない。その鹿にとって人の存在が絶対的に皆無になった。
そこに存在する人は既に気配を消していた。

そういう問題が世の中を駆け巡る事は少なくともあの町には無かった。

かわりに純朴で誠実だ。少しの礼儀と、ありしの日の故人を懐かしみ、またおのおのがささやかに弔う思いがある。それで十分なのだ。
暖炉に使う越冬に必要な薪を必死に作る毎日。

とてものんびりとはいかない。生死がある。

赤い屋根のある壁はだが褐色のままなのは、故人が冬を越さないで使い切らなかったせいだった。

薪の前を鹿が通りすぎる。気配は存在しない。

ときどき猟で狩った鹿の角を解体中に、あそこらへんから自慢気に見せた。

その親鹿の子供だろか。
お前にはもう父を殺したかたきはいない。

鹿はその場に立ち止まって、ひさしにかばわれながら、そこだけ雪を積もらせなかった地面に軽く鼻をぶつけた。
わずかばかり生えた黄緑の草を見つけて食んでいた。
生きて支えていた父はもういないのだ。
どんな道端の草でもあればそれを食んで生きていかなければならない。
誰だってそうだ。

小鳥のさえずりがまたどこかから聞こえた。

今日は通路には老人は寝ていなかった。

日比谷線や有楽町線が運ぶ会社員が周りを足早にすり抜けていた。

あの老人も誰かの父親なのだ。
僕も。
孤独死の老人も。
誰もみんなだ。

かれこれ30年も東京で暮らした。

むせるよな森の香りも匂いもしない、海の香りも匂いもしない。
すぐに帰っておいで。
僕を誰かよんでいた。
目をつむる。
はっとして僕は歩きだす。
僕を森と海のある故郷から引き離そうとする姿かたちのないものが無数にある。ずうと呼んでる。
ずうっとそうして今日まで心に響き渡ってた。
震えながらその声を聞いていた。
僕はまるで聞いたことのない鳥のさえずりの魔法になすすべをなくして東京で生きていた。

あ、父の命日が近い。
もうすぐ13日。

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